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2026.03.27コラム

「つながらない権利」とは?就業規則への記載例とガイドライン策定の実務ステップを徹底解説

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「退勤後に上司からLINEで業務指示が届く」「休日なのにメールの通知が気になって休めない」──こうした悩みを抱える従業員は少なくありません。
2025年12月のマイナビ調査によると、20〜50代の就業者の約7割が勤務時間外に業務連絡を受けた経験があり、6割以上が「拒否したい」と回答しています。
一方、帝国データバンクの2026年3月調査では、つながらない権利に関する対応ルールを整備している企業はわずか1割にとどまります。
厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」報告書でもガイドライン策定の方針が示されており、企業が先手を打って動くべきタイミングに来ています。
この記事では、「つながらない権利」の法的位置づけから、就業規則への具体的な記載例、ガイドライン策定の実務ステップ、そして勤怠管理システムを活用した運用方法まで、労務担当者が翌日から使える情報を網羅的に解説します。


目次

1. 「つながらない権利」とは何か──定義と背景
2. 日本の法的位置づけと労基法改正の最新動向
3. 勤務時間外の業務連絡が「労働時間」になるケース
4. 就業規則への記載例──そのまま使えるモデル条文
5. ガイドライン策定の5ステップ──現状把握から運用定着まで
6. 勤怠管理システムを活用した「つながらない権利」の運用
7. よくある質問(Q&A)
8. 「勤労の獅子」でできること
9. まとめ

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1. 「つながらない権利」とは何か──定義と背景

1-1. つながらない権利(Right to Disconnect)の定義

「つながらない権利」とは、労働者が勤務時間外や休日において、業務に関するメール・電話・チャット(LINE、Slack、Teamsなど)への対応を拒否できる権利のことです。英語では「Right to Disconnect」と呼ばれ、フランスが2017年に世界で初めて法制化しました。
スマートフォンやクラウドツールの普及により、オフィスを離れた後も業務連絡が届く環境が当たり前になりました。テレワークの拡大はこの傾向をさらに加速させ、「仕事とプライベートの境界線があいまいになる」問題は、もはや一部の企業の課題ではなく、労働市場全体の構造的な問題に発展しています。

1-2. 海外では法制化が急速に進んでいる

つながらない権利の法制化は、フランスを皮切りに世界各国で急速に広がっています。
以下の表は、主要国の法制化状況を整理したものです。

国名 法制化年 主な内容
フランス 2017年 従業員50人超の企業に、つながらない権利に関する労使協議を義務化(労働法典L2242-17条)
イタリア 2017年 アジャイル・ワーキング法(法律81/2017)で、リモートワーク中の「つながらない権利」を規定
スペイン 2018年 データ保護法(LOPDGDD)第88条で、デジタル環境における労働者のプライバシー保護を規定
ベルギー 2022年 従業員20人以上の企業に、つながらない権利に関する協定締結を義務化
オーストラリア 2024年 公正労働法改正により「連絡遮断権」を法定化。違反企業には罰金あり

フランスの法律では、企業に対して「つながらない権利の行使方法」について労使で協議し、合意に至らない場合は企業が独自に憲章(charte)を策定することを義務づけています。罰則規定はありませんが、労使協議を行わないこと自体が法令違反となります。
特筆すべきはオーストラリアの2024年法改正です。従来の「努力義務」ではなく、勤務時間外の不当な連絡に応じなかったことを理由に従業員を不利益に扱った場合、企業に罰金が科されるという強い強制力を持った内容となっています。

1-3. 日本企業の対応はまだ1割──データが示す現実

帝国データバンクが2026年3月に公表した調査によると、つながらない権利に関する対応ルールがある企業はわずか1割にとどまっています。注目すべきは、勤務時間外に連絡する企業が大企業で79.8%にのぼり、全体平均を上回っています。組織が大きくなるほど勤務時間外の連絡が常態化している実態が浮かび上がります。
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さらに、2025年12月のマイナビ調査では、20〜50代の就業者の約7割が勤務時間外に業務連絡を受けた経験があり、6割以上が「対応を拒否したい」と回答しています。管理職が部下に勤務時間外に連絡する場合、約6割がそれを「緊急」と認識する一方部下から連絡を受けた管理職が「緊急」と感じる割合は3割未満にとどまり、立場によって「緊急性」の認識に大きなギャップが生じていることが明らかになりました。

2. 日本の法的位置づけと労基法改正の最新動向

2-1. 現行法に「つながらない権利」の明文規定はない

2026年3月時点で、日本の法律に「つながらない権利」を直接保障する条文は存在しません。ただし、関連する法令やガイドラインはいくつかあり、企業が勤務時間外の連絡を放置してよいわけではありません。
厚生労働省は2021年3月に改定した「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」の中で、「時間外、休日または所定外深夜のメール等に対応しなかったことを理由として不利益な人事評価を行うことは適切な人事評価とはいえない」と明記しています。法的な拘束力はありませんが、行政の考え方を示すものとして重要な指針です。
加えて、労働基準法第32条は法定労働時間(1日8時間、週40時間)を定め、同法第37条は時間外・休日労働に対する割増賃金の支払い義務を規定しています。勤務時間外の業務連絡が「使用者の指揮命令下に置かれた時間」に該当すれば、それは労働時間であり、割増賃金の対象になります。つまり、現行法の枠組みでも、勤務時間外の業務連絡を無制限に行うことは法的リスクを伴うのです。

2-2. 労基法改正の検討状況──ガイドライン策定の方針

2024年末に公表された厚生労働省「労働基準関係法制研究会」報告書では、つながらない権利についてガイドラインを策定する方針が示されました。フランスのように法律で直接権利を保障するのではなく、まずはガイドラインにより企業に対応を促すという段階的なアプローチが検討されています。
ただし、2025年12月26日に厚生労働省は2026年通常国会への労働基準法改正案の提出を見送る方針を発表しました。これにより法改正の時期は2027年以降にずれ込む見通しですが、改正の方向性自体は変わっていません。ガイドラインが先行して策定される可能性もあり、企業としては法改正を待たず、自主的にルール整備を進めることが賢明な判断です。

2-3. 安全配慮義務との関係──「何もしない」はリスク

労働契約法第5条は、使用者に対して労働者の生命・身体等の安全を確保する「安全配慮義務」を課しています。勤務時間外の業務連絡が常態化し、従業員のメンタルヘルス不調が発生した場合、企業は安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を問われる可能性があります。
厚生労働省の令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活で「強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある」と回答した労働者の割合は82.7%に達しています。勤務時間外の連絡によるストレスが、メンタルヘルス不調の引き金になっていても不思議ではありません。「つながらない権利」に関する社内ルールの整備は、法令遵守だけでなく、従業員の健康を守る安全配慮義務の履行としても安全配慮義務の履行そのものです。

3. 勤務時間外の業務連絡が「労働時間」になるケース

「勤務時間外のLINE1本が労働時間に該当するのか?」という疑問は、多くの労務担当者が抱えるテーマです。結論から言えば、その連絡が「使用者の指揮命令下に置かれたもの」であるかどうかが判断基準になります。
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3-1. 労働時間に該当する可能性が高いケース

労働基準法上の「労働時間」とは、最高裁判例(三菱重工長崎造船所事件・平成12年3月9日)により、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されています。以下のような勤務時間外の連絡は、労働時間に該当する可能性が高いといえます。
・ 上司からLINEやメールで具体的な業務指示が届き、即時の対応や返信が求められている場合
・ 退勤後にメールでの報告書作成やファイル更新を指示され、実際に作業を行った場合
・ 休日に「明日の会議資料を今日中に送ってほしい」と連絡があり、対応した場合
・ 社用携帯の電源を入れておくよう指示され、着信があれば対応する義務がある場合(いわゆる「待機」状態)

3-2. 労働時間に該当しにくいケース

・ 翌日の業務に関する「参考情報」の共有で、返信や対応が求められていない場合
・ グループチャットでの雑談や、業務に直接関係しない情報の共有
・ 「確認は明日でOKです」と明記された連絡

3-3. 裁判で認定された実例

実際の裁判例でも、勤務時間外の業務連絡が労働時間として認定されたケースがあります。
東京地裁(2021年11月28日判決)では、長時間労働で過労死した服飾雑貨メーカーの従業員について、退勤後のメール送信やファイル更新が労働時間に該当すると判断され、会社側に約1,100万円の支払いが命じられました
もう1つ押さえておきたいのがアクサ生命保険事件(東京地判令和2年6月10日)では、管理職が育児で短時間勤務中の部下に対し、帰宅後の午後7時〜8時や深夜11時頃に携帯電話やメールで業務報告を繰り返し求めていたことについて、裁判所はパワーハラスメントに該当すると判断し、当該管理職への懲戒処分は有効であるとしました。
「たかがLINE1本」「ちょっとした確認のメール」と軽視していると、労働時間の未払い問題やパワハラ認定につながるリスクがあります。勤務時間外の連絡に関するルールを整備することは、こうしたリスクから会社を守ることに直結します。

4. 就業規則への記載例──そのまま使えるモデル条文

つながらない権利を社内で実効性のあるルールにするには、就業規則への明記が不可欠です。以下に、モデル条文の例を2パターン示します。自社の業種・規模・働き方に合わせてカスタマイズしてください。

4-1. パターンA:シンプル版(小規模企業向け)

(勤務時間外の連絡制限)
第○条 会社は、従業員の勤務時間外(所定労働時間の終了後から翌日の所定労働時間の開始まで、および休日をいう。以下同じ。)において、緊急かつやむを得ない事由がある場合を除き、電話、電子メール、チャットその他の方法により業務に関する連絡を行わないものとする。
2 従業員は、勤務時間外に受信した業務に関する連絡に対し、翌営業日の勤務開始後に対応すれば足りるものとする。
3 前項の規定に基づき勤務時間外の連絡に対応しなかったことを理由として、不利益な人事評価その他の不利益な取扱いを行ってはならない。

4-2. パターンB:詳細版(中規模〜大企業向け)

(勤務時間外における業務連絡の制限)
第○条 会社および従業員は、勤務時間外における業務連絡について、以下のとおり取り扱うものとする。
(1)管理監督者を含むすべての従業員は、他の従業員の勤務時間外において、原則として業務に関する電話、電子メール、チャット等の連絡を行わないものとする。
(2)緊急連絡が必要な場合は、別途定める「緊急連絡基準」に該当する場合に限り、所定の連絡手段により行うものとする。
(3)従業員は、勤務時間外に受信した業務連絡(前号の緊急連絡を除く。)に対し、翌営業日の勤務開始後に確認・対応すれば足りるものとする。
(4)勤務時間外の業務連絡に対応しなかったことを理由として、人事評価、配置転換、昇進・昇格その他の処遇において不利益な取扱いをしてはならない。
(5)やむを得ず勤務時間外に業務連絡に対応した場合は、その時間を勤怠管理システムに記録し、所属長の承認を得るものとする。
2 会社は、本条の運用に関するガイドラインを別途定めるものとする。

4-3. 「緊急連絡基準」の定め方

モデル条文のいずれにも「緊急かつやむを得ない場合」の例外が設けられています。この例外が拡大解釈されると、ルール自体が形骸化する危険があります。緊急連絡が許容される場面を具体的に定義しておくことが重要です。

緊急連絡に該当する場合 緊急連絡に該当しない場合
自然災害・事故など、従業員の安全に関わる連絡 翌日の会議資料の確認依頼
重大なシステム障害やセキュリティインシデント 翌日の予定変更の連絡(翌朝でも間に合うもの)
取引先との重大なトラブルで、本人の判断が不可欠な場合 定例報告のリマインド
労災発生時の緊急対応 「見たら返信ください」程度の確認

「急ぎだと思った」という主観的な判断ではなく、上記のような客観的な基準を設けることで、管理職と一般従業員の間で「緊急」の認識のズレを防ぐことができます。

5. ガイドライン策定の5ステップ──現状把握から運用定着まで

就業規則にモデル条文を追加するだけでは、つながらない権利は絵に描いた餅になりかねません。実効性のあるガイドラインを策定し、現場に定着させるための5つのステップを解説します。

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ステップ1:現状を数値で把握する

まず、自社で勤務時間外の業務連絡がどの程度発生しているかを客観的に把握します。具体的には以下のデータを収集しましょう。
・ 勤怠管理システムのログから、所定労働時間外のメール送信件数・チャット発信件数を集計する
・ 部署別・役職別に集計し、特に問題が大きい部署を特定する
・ 従業員アンケートを実施し、「勤務時間外に業務連絡を受ける頻度」「ストレスの度合い」を数値化する
・ 退勤後から翌日出勤までの時間帯別に連絡件数を可視化する(ピーク時間帯の把握)

このステップを省略すると、「うちの会社は大丈夫」という根拠のない安心感が蔓延し、ガイドライン策定の必要性を社内で説得できなくなります。数値に基づく現状認識が、経営層を動かす第一歩です。

ステップ2:方針を決定し経営層の合意を得る

現状把握の結果を踏まえ、自社における「つながらない権利」の方針を決定します。方針決定にあたっては、以下の項目を検討します。
・ 対象範囲:全従業員か、特定の部署・役職に限定するか
・ 時間帯:「所定労働時間外」とするか、「20時〜翌8時」のように具体的な時間帯を定めるか
・ 連絡手段:メール、チャット、電話のすべてを対象にするか
・ 例外基準:どのような場合に勤務時間外の連絡を許容するか
・ 記録方法:勤務時間外に連絡に対応した場合の勤怠記録の方法

経営層の合意を得る際のポイントは、つながらない権利を「従業員の要望」としてではなく、「未払い残業代リスクの回避」「安全配慮義務の履行」「人材の定着率向上」という経営課題への対応として位置づけることです。

ステップ3:ガイドラインを策定する

ガイドラインには、就業規則のモデル条文(前章で紹介)の内容に加えて、以下の実務的な事項を盛り込みます。

ステップ4:管理職向け研修で意識改革を図る

帝国データバンク調査で「つながらない権利の推進に必要な取り組み」として最も多く挙げられたのは、「明確なガイドライン策定」(49.3%)に次いで「管理職への意識改革・研修」(44.1%)でした。ガイドラインを作っても、管理職が「部下に連絡するのは当然」と考えていては効果がありません。
管理職向け研修では、以下のポイントを重点的に扱います。
・ 勤務時間外の業務連絡が労働時間に該当するケースと、割増賃金の支払い義務
・ アクサ生命保険事件のように、時間外の連絡強要がパワハラ認定された実例
・ 「自分にとって緊急」と「客観的に緊急」の違い──マイナビ調査に見る認識ギャップ
・ 送信予約機能の具体的な使い方(Outlook、Gmail、Slack、Teamsそれぞれの操作方法)
・ 「急ぎの用件は翌朝チーム朝会で共有する」など、代替手段の提案

ステップ5:定期的にモニタリングし改善する

ガイドライン導入後は、ステップ1と同じ方法で定期的にデータを収集し、効果を測定します。勤怠管理システムのログから勤務時間外の連絡件数の推移を可視化し、改善が見られない部署には個別にヒアリングを行います。
半年に1回程度の従業員サーベイを実施し、「勤務時間外の連絡に関するストレス」の変化を定点観測することも有効です。数値の改善が確認できれば、ガイドラインの実効性を社内外にアピールする材料にもなります。逆に改善が見られない場合は、ルールの見直しや追加の研修を検討しましょう。

6. 勤怠管理システムを活用した「つながらない権利」の運用

つながらない権利を実効性のあるものにするには、勤怠管理システムとの連携がカギになります。ルールを「紙の規則」で終わらせず、日々の勤怠データの中に組み込むことで、運用の実態を可視化し、管理職の行動変容を促すことができます。

6-1. 勤務時間外の業務対応を記録する仕組み

モデル条文のパターンBで示したとおり、「やむを得ず勤務時間外に業務連絡に対応した場合は、その時間を勤怠管理システムに記録する」というルールを設けることが重要です。勤怠管理システムに「時間外対応」の打刻区分を設け、従業員がスマートフォンから簡単に記録できるようにしておきます。
この記録が蓄積されることで、「どの部署で」「どの時間帯に」「どれくらいの頻度で」勤務時間外の業務対応が発生しているかを定量的に把握できます。管理職に対して「あなたの部下は先月○件の時間外対応を記録しています」とフィードバックすることで、具体的な行動改善を促すことが可能になります。

6-2. アラート機能で「気づき」を与える

勤怠管理システムのアラート機能を活用し、勤務時間外の業務対応が一定の閾値を超えた場合に、管理職や人事部門に自動通知を送る仕組みを構築します。例えば、「月間の時間外対応回数が5回を超えた従業員がいる場合、所属長にアラートを送信する」といった設定です。
この仕組みは、勤務間インターバル制度の義務化が検討されている現状を踏まえると、二重の効果を発揮します。勤務時間外の業務対応は、インターバル時間の確保にも影響するためです。勤怠管理システムで両方を一元的に管理できれば、将来の法改正にもスムーズに対応できます。

6-3. ITツール側の設定も忘れずに

勤怠管理システムでの記録と並行して、コミュニケーションツール側でも以下の設定を推奨します。
・ メールの送信予約機能の活用:深夜に作成したメールは翌朝の始業時間に自動送信されるよう予約する
・ チャットツールの通知オフ設定:SlackやTeamsの「おやすみモード」を所定労働時間外に自動で有効にする
・ 社用スマートフォンの通知制御:MDM(モバイルデバイス管理)を活用し、就業時間外は業務アプリの通知を停止する
・ 自動応答メッセージの設定:勤務時間外に連絡があった場合、「翌営業日に対応します」と自動返信する

7. よくある質問(Q&A)

Q1:つながらない権利は2026年に法制化されますか?

A:2026年3月時点では法制化されていません。2026年通常国会への労働基準法改正案の提出は見送られ、法改正は2027年以降になる見通しです。ただし、厚生労働省の研究会報告書でガイドライン策定の方針が示されており、ガイドラインが先行して策定される可能性があります。法制化を待たず、自社でルールを整備しておくことが推奨されます。

Q2:管理監督者(管理職)にもつながらない権利は適用されますか?

A:労働基準法第41条で管理監督者は労働時間の規制が適用除外されますが、つながらない権利はそれとは別の問題です。管理監督者であっても健康確保の観点から勤務時間外の連絡を制限する対象とすることが望ましいとされています。実際には、管理監督者が率先してルールを守らなければ、組織全体にルールが浸透しません。ガイドラインの対象には管理監督者を含めることを強く推奨します。

Q3:取引先や顧客からの連絡はどう扱えばよいですか?

A:社外からの連絡を完全に遮断することは現実的ではありません。取引先や顧客からの緊急連絡に対応する当番制(ローテーション)を設け、対応した時間は労働時間として勤怠管理システムに記録する方法が有効です。当番以外の従業員は、社外からの連絡にも翌営業日に対応すれば足りるものとしましょう。

Q4:「メールを見ただけ」でも労働時間になりますか?

A:メールを閲覧しただけで、返信や作業を行っていない場合は、通常は労働時間に該当しないと考えられます。ただし、上司から「メールを確認しておくように」と指示されている場合や、確認して何らかの判断を求められている場合は、「使用者の指揮命令下に置かれた時間」として労働時間に該当する可能性があります。そもそも勤務時間外にメールを見なくてもよい環境を整えることが、最も確実な対策です。

Q5:つながらない権利に関する就業規則の変更は、従業員の不利益変更にあたりますか?

A:つながらない権利を保障する方向の就業規則変更は、従業員にとって有利な変更であるため、労働契約法第10条に定める「不利益変更」には該当しません。ただし、就業規則の変更手続き自体は通常どおり必要です。労働基準法第90条に基づき、従業員の過半数代表者の意見を聴取し、所轄の労働基準監督署に届け出てください。

8. 「勤労の獅子」でできること

クラウド勤怠管理システム「勤労の獅子」は、勤務時間外の業務対応の記録や、アラート通知の設定など、つながらない権利の運用に必要な機能を柔軟に設定できます。
スマートフォンからの打刻にも対応しており、従業員が自宅から「時間外対応」を簡単に記録可能です。
部署別・従業員別の時間外対応データを集計するレポート機能により、ガイドラインの運用状況をリアルタイムで可視化できます。
導入後のサポート体制も充実しており、つながらない権利のガイドライン策定に関する相談から、勤怠管理システムの設定変更まで、専任のサポートチームが伴走します。

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9. まとめ

この記事のポイントを整理します。

・ つながらない権利(Right to Disconnect)は、勤務時間外の業務連絡への対応を拒否できる権利。海外ではフランス、オーストラリアなど多くの国で法制化が進んでいる

・日本では2026年3月時点で法制化されていないが、厚生労働省はガイドライン策定の方針を示しており、帝国データバンク調査では対応ルールがある企業はわずか1割にとどまる

・勤務時間外の業務連絡が「使用者の指揮命令下」にあたる場合は労働時間に該当し、割増賃金の支払い義務が生じる。実際の裁判でも認定された実例がある

・就業規則にモデル条文を追加し、「緊急連絡基準」を具体的に定めることで、ルールの形骸化を防ぐ

・ガイドラインの策定は「現状把握→方針決定→策定→管理職研修→モニタリング」の5ステップで進め、勤怠管理システムを活用して運用を可視化する

つながらない権利への対応は、法改正を待ってから始めるのでは遅すぎます
対応ルールがある企業が1割にとどまる今こそ、先手を打ってガイドラインを策定し、「従業員が安心して休める会社」をアピールする絶好のタイミングです。まずはステップ1の現状把握から始めてみてください。

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